2012年春期アニメ総評

1位:坂道のアポロン

まさに素晴らしき青春時代の1ページ

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ジャズを通じて友情を深めていく男たちの物語だが、そこにはまさに青春の1ページがふんだんに盛り込まれており、色褪せていた自分の青春時代までもが、鮮やかな色を伴ってよみがえったかのような錯覚にさえ陥ってしまう。

音楽嫌いの私でもぞっとするほどのジャズセッション、一昔の前の思春期の男女らいし淡くて切ないラブストーリーなど、珍しくもない設定と背景なのだが、物語を作るというのはこうするのだといわぬばかりの作劇は、昨今、設定とキャラだけでお話を作ってしまうこの世界への警鐘のようにも見える。

唯一、最後の展開だけがどこか中途半端に感じたのは残念だが、アニメ視聴後に原作を全館読破してみれば、明らかに尺が足りなかったことが分かる。それでも、普段のノイタミナより1話多く、冗長とした展開などほとんど見られなかったところを見ると、やはり最初から尺が僅かに足らないのが分かっていてオリジナルラストにしたのであろう。
あのラストはそれはそれで良いので、DVDで15分でも加筆修正されるというのであれば、全館購入してもよいほど。

2位:宇宙兄弟

丁寧に作られた名作の風格を漂わせる作品

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誰もが一度は憧れる宇宙を、ここまで好きだと言える主人公の存在感に最初からガッチリハートを掴まれてしまった。
エピソード的にはそれほど面白いというものでもなく、日常の生活や特異な世界での生活を、普通に描いているだけなのだが、それがここまで面白く感じるのは、ストーリーの丁寧な造りもさることながら、主人公ムッタの独白で進められるストーリーに親近感を覚えるからであろう。

イケメンでもないただのオッサンでありながら、こうも視聴者のハートをがっちり掴むのは、歳を取っても夢を諦めていないという信念と覚悟に憧れるから違いない。誰もがいつしか忘れてしまう夢を、ずっと追いかけてそこに迫っているおっさんというのは、どうしてこうも素敵に見えるのだろうか(笑

3位:謎の彼女X

究極のフェティシズムアニメ

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ヨダレを舐めあうという、潔癖症の人には設定だけで嫌悪感を感じるようなお話だが、その部分を受け入れられると妙にハマってくる作品。
なぜこんなことをするのか、なぜ舐めあう必要があるのか最後まで説明がなされなかったが、もはやヨダレは舐めあうものであるという設定を不思議とも思わずに受け入れてしまい、回を追うごとにエスカレートする変質的なエロティシズムとマニアックなフェティシズムに興味が尽きることはなかった。

視聴者を選ぶ作品であり、明らかに万人受けする作品ではないが、一部のマニアには必ず受けるという鉄板な作品ともいえる。
中途半端なエロラノベや、エロ成分を差し引いたエロゲなどでは醸し出すことのできないこの世界観をアニメ化しようとゴーサインを出した人に拍手を送りたいW

4位:つり球

予想外の面白さ

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当初は宇宙人と釣りをするというテーマ事態に面白みを感じず、コミュ障害の主人公にも好感が持てずに切り候補だった。しかし、途中からどんどん面白くなってゆき、主人公がコミュ障害を克服してからの展開はまさに平凡な世界での怒涛の展開であり、毎週次回が楽しみでしょうがなかった。
その勢いは最後まで留まることを知らず、宇宙人と共に世界の敵に挑んでいくという、荒唐無稽なアニメならでわの面白さをふんだんに蓄えつつ迎えた最終回は、えもいわれぬ面白さに充実感さえ感じるほどだった。
オリジナルでこれほど面白い作品は久しぶりだったので、ノイタミナの底力を思い知らされた。

5位:LUPIN the Third~峰不二子という女~

大人のルパン

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定期的に2時間物のテレビシリーズが放映されている人気作だが、数年前から視聴していない。今回の深夜アニメ版ルパンも視聴する予定ではなかったのだが、試しに視聴したら意外に面白くてそのまま最後まで視聴してしまったw

ルパンではなく不二子が主人公で、彼女の過去から今までの生き様を見せつつ、テレビシリーズのキャラたちと絡め合わせていく流れは自然で見ごたえがある。
彼女の過去にしても、最後に二転三転させてさらに奥深くまで突き詰めさせようとする見せ方は非常に上手く、エロティシズムも加わって今までの深夜アニメにはないノスタルジックでありながらオリエンタルなムードとオクシデンタルな世界が融合した異色の作品となっている。この作品自体で1つの完結を見ているので続編は難しいだろうけど、この世界の流れを踏襲した新しいルパンシリーズというのは見てみたい気がする

6位:モーレツ宇宙海賊

大御所の作品はやはり違う

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数十年前、まだ若者向けの小説がラノベと呼ばれる前の時代の小説がベースであり、作風も絵柄もそれに似せてかどこか古臭い印象だったが、やはり作品としての出来は昨今のラノベの出来とは雲泥の差である。
前半部分に少々冗長的な部分があったものの、後半の盛り上げ方は見事であり、これこそライトノベルの本来の見せ方であろうというお手本的な展開は見事。

キャラ紹介的なエピソードがほとんどないわりに、各キャラが自己主張が強過ぎない程度に立っており、主人公を上手く際立たせている。

中盤から後半に懸けて一気に盛り上がっており、次回への引きや謎を明らかにさせるタイミングも絶妙で、物語の作り方のお手本のうような作品といえよう。

惜しむらくは、お手本的な作り方であるがゆえに、突出したものがなかったので平均的な面白さに留まってしまったことだろうか(^ー^;A

7位:AKB0048

予想以上に面白い

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面白いというと御幣があるが、毎回コンスタントに楽しませてくれる。

流行りのAKBを安易にアニメ化し、ファンに金を落とさせるためだけの作品かと思っていたが、設定の不可思議さを除けばストーリー展開や物語の流れもそれなりによく出来ている。実在のキャラをアニメ化するにしても、近未来設定にして○代目としたのもいいアイディアだと思う。

まだ物語の途中なのでこの先はどうなるか分からないが、この手の物語に必要なキャラたちが努力して成功するという展開が今のところ見られず、単に研究生になったら成功するのを待っているという受身的な立場にいることが気になる。特に主人公の一人凪沙の努力のしなさっぷりは酷い。
彼女たちがこのままダラダラと生活しているだけでスーパーアイドルになるとしたら、それはちょっと違う気がする。

8位:Fate/Zero

ライダー陣営だけが救い

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第一期が非常に面白く、作画クオリティも高かったので今期期待の作品だったが、こちらの予想を超えて悲惨すぎる展開と絶望的なラストは視聴していてモチベーションが下がった。(-"-;)

過去の英雄たちが登場しているのだから、もっとヒロイックなバトルやストーリーを展開していたのだが、彼らの活躍はほとんどなく、人間サイドのドロドロした人間関係や一方的な都合で面白くなりそうな個所が全て潰されている印象。
そんな中であって、唯一、ライダー陣営のみがオアシス的に物語を憩うてくれた。彼らの存在がなければ、個人的には評価はもっと下がっていただろう。ただ、他のキャラが全てマイナス点なので、これ以上に評価が上がることはない。

10位:キングダム

時代的にはドストライク


中国の戦国時代の始皇帝がメインキャラという中国史オリジナルアニメ、春秋戦国時代好きな私にとってはドストライクな時代設定の作品。

登場人物がまだマイナーどころなのは残念だが、そこは後半への期待感で生めることができる。
ただ、時折、一昔前の出来損ないのCGのようなキャラになるのが気になる。
千軍万馬の戦場シーンならCGも仕方ないが、意味もなく主人公のアップとかでもCGっぽい画面になるのが解せない。何かのチャレンジなのか製作側の都合なのだろうか。
とりあえずまだ物語りは始まったばかりなので甲乙は着け難いが、期待したい作品である。

11位:這い寄れ!ニャル子さん

第一話が最高だった出落ち作品


1話が最高に面白く、今期一番の期待作だったが、2話目以降、急速にトーンダウンし、たまに見られるパロディなどでクスリと笑える程度になってしまったのは残念。
ノリ的には禅話を通じてもよいのだが、ニャル子の恋愛・求愛モードがあまり面白くなく、その他のキャラもイマイチノリが違うというのが大きいと思う。
素材としては面白く、ノリや展開もよいので面白くできる要素はいくらでもあると思うので、第二期があれば期待したい。

12位:エウレカセブンAO

ロボ戦は格好いいがストーリーが杜撰


ロボ戦はさすがに見ごたえがあり、動きも見せ方もお見事。もう一つのロボ物がダメダメなので、比較すると50%くらいよく見える(笑)。
ただ、ストーリーはどこか雑で、いきなり場面や時間が飛んだりしてかなり分かり辛い。前後の整合性が取れていなかったり、キャラの動きや場面転換に必然性がなかったりと、作劇は悪く、全体的に物語に動かされている感が強い。

ただ、前期で登場したエウレカがようやく登場し、物語も盛り上がってきそうなので、後半に期待。ストーリーの整合性など気にならぬほどの派手なバトルシーンが見られることを期待するw

13位:ファイブレイン

真面目に馬鹿をするキャラが面白い


予想もしなかった3クール目突入だが、ストーリー的には敵が別の組織になっただけでお互いにやってることは一緒。(^ー^;A

パズルが中心の世界というのが想像もできないため、この作品の世界観にイマイチ感情移入はできない。
やはり、この作品で面白いのは、トンマな作戦を真面目な顔をしてやる敵のキャラたちのギャップであろうか。初期の仮面ライダーの怪人が世界征服を目論みながら幼稚園バスを襲ったりしているギャップがあるように、人殺しも辞さないという態度を取りながら、穴だらけの作戦や小学生レベルの罠を仕掛けてくる敵は恐ろしい敵や憎むべき敵という印象ではなく、トンマでマヌケな微笑ましい悪役にしか見えない。彼らの失笑モノのピカレスクドラマがあるからこそ、この意味不明の世界が面白く感じてしまうのだ。

14位:HUNTER×HUNTER

退屈な展開が終わってようやく盛り上がりそう


ようやくハンター試験も終わり、蜘蛛編に入るので面白くなりそう。
やはり、ハンター編はその先を知っていると退屈な回だったな・・・(^ー^;A  ジャンプ作品のアニメ化らしく、ストーリーの引き伸ばしや冗長とした展開も多く見られているから、今後もこの作り方を踏襲されてしまうと、面白いはずの蜘蛛編も面白くなくなる恐れがある・・・

15位:リコーダーとランドセル

5分作品はこれが限界か


5分という異例の短い作品ながら、キャラ設定の面白さからとりあえず最後までは視聴できたが、基本的にパターンが決まっており、数種類のパターンエピソードを繰り返しているだけのような気がする。
この短さではストーリー的な見所を作るのが難しく、出落ちギャグやキャラ頼りになってしまうのは仕方ないのだろうけど・・・

16位:黄昏乙女×アムネジア

悪くはないが見せ方がしつこい


主人公にだけ見える幽霊との学園モノだが、普通ならコメディモノになりそうな設定をあえてシリアスモノにし、悲しくも恐ろしい背景を幽霊に背負わせ、それを中心にストーリーを展開させる流れは中々興味深かったものの、幽霊の夕子さんの秘密と、彼女の暗部である影夕子との融合までがどこか冗長としている。音響効果や画面操作で何とか恐怖心や期待感を煽ろうとしているのが分かるが、視覚的聴覚的に訴えてもストーリーの冗長性がそれらを相殺してしまい、びっくり箱のように刹那的に恐怖心や期待感を煽るだけでそれらが持続していない。

やはり、シリアスは半クールだけにして、後半は気分を変えて学園コメディにした方がメリハリもあって面白くなったのでははなかろうか

17位:さんかれあ

中途半端で何がしたいのか不明


ゾンビ好きの主人公が美人のゾンビと暮らすという異色の作品だが、物語をギャグにしたいのかシリアスにしたいのか、どっち付かずで中途半端な感じがする。

ゾンビになるまでに時間をかけ、なってからもグダグダな展開が続くだけで盛り上がりがなく、平坦な低空飛行が延々と続いて気付かないうちに終わってしまった。
見終えてから振り返ると印象に残るものはほとんどなく、ストーリーの流れからしてどういう話にしたかったのかも理解できない。

動くキャラを楽しむだけの、ファン作品止まりになってしまったのではなかろうか。

18位:聖闘士星矢Ω

期待を外しまくる迷作


原作は数十年前にジャンプでも読んで単行本も購入してた。基本、車田作品はノリと勢いとキメシーンの格好良さが全てである。つまりはそれだけで事足りるほどにこの3つがずば抜けているから面白い。

しかし、この作品はそのノリと勢いが恐ろしく悪い。ここでこうすれば盛り上がるだろう!という場面でも、あえてそういう方向にしなかったり、さらりとかわしてしまう展開にしてしまっているのは、車田作品に対するアンチテーゼ的な作品を作ろうとしているとしか思えない。

旧作のキャラも出て欲しいキャラは出さず、あえて新キャラにするなど、故意に旧ファンを離れさせようとしているとしか思えない。
かと言って、新ファンを取り込むだけの勢いと力もなく、方向性を見失っているのではないだろうか。

19位:アクセルワールド

後付設定が多すぎ


電脳世界でのバトルもので、バトルシーンはよくできているが、キャラ設定はラノベ的。全くモテそうのない肉丸くんがモテモテな必然性も、選抜された理由もよく分からず、キャラの感情面に関しては場面や作劇によってころころ変わる。ストーリーに動かされているキャラにしか見えないので感情移入は難しい。

さらに、後からこんな設定もあるんですよ的なサプライズが多く、ストーリー的に盛り上げるのではなく、設定頼りになっているため、ストーリーの盛り上がりがない。

作画クオリティだけが無駄に高いのが救いになってるのかどうか・・

20位:ZETMAN

出来の悪いヒーローモノ


アメリカヒーローモノが好きで描いたのは分かるが、数あるヒーローモノの切り張り作品にしか見えない。
テーマを重くしようとしているのは分かるが、作劇がヘタなのかキャラをトコトン不幸にしたり悲惨な目にあわせることでそれが成り立つと思ってるフシがあり、見ていて重いというより不愉快な気分にしかならない。

主人公が置かれている状況やラスボスの意図など、不自然で理解できない点がいくつもあり、それらを冗長させるような魯鈍な展開は退屈極まりない。
また、唯一の売りである桂キャラもアニメになっては魅力が半減以下であり、良いところを探すほうが難しくなっている

21位:機動戦士ガンダムAGE

ガンダムの黒歴史決定


ガンダム好きとしてはどうにか頑張って欲しかったが、もはやどうしようもないほど無惨な作品になっている。
3世代にわたる歴史的な流れを期待していたのだが、単に数年時間が経った程度の変化しか見られず、キャラが歳をとったので時間が経過しましたよという程度の描写しか見られず、歴史云々のような壮大なテーマなどは微塵も感じられない。
登場するキャラ描写の薄さ、ストーリーの整合性のなさはもはやデフォルト。たまにMS戦でちょっと格好いいところがあるくらいが唯一の救いか。

キャラを育てることをしていないから、たんなる歴史の教科書を読んでいるような味気ないストーリーに成り下がっており、スタッフは猛省して最後に花を咲かせて欲しい

22位:戦国コレクション

戦国ではなくもはや歴史コレクション


最近になって掃いて捨てるほど出てきた美少女戦国モノの一つ。ただ、戦国と冠をしているものの、ネタが切れたのか製作者の好みなのか、戦国とは全然異なる時代の美少女が多数登場する。

ストーリー的には有名な映画のパロディ形式になっているようだが、元ネタをほとんど知らないのでどこがパロディになっているかはよほどの映画通でないと分からないであろう。また、名作をパロってるワリニはストーリーの出来が悪く、何がしたいのかさっぱり分からないエピソードが多い。
これを2クール放映するのは、暴挙以外のなにものでもなかろう。

23位:咲 阿智賀編 episode of side-A

インチキ麻雀ゲームをプレイしているみたい


ストーリーも中途半端な上に大量の女性キャラを登場させ、たんに麻雀をさせているだけという何とも意味不明な作品。第一期目は主人公キャラを中心にした学園スポコンノリ的な物語や、エスパーバトルのような特殊能力戦もあって楽しめたのだが、今回は主人公は完全にモブで最終話付近などはセリフどころか画面にさえほとんど登場してきていない。
替わりに最強の麻雀プレイヤーの勝ってる状況を延々と流すという、何が面白いのかさっぱり分からない状態で終わった。

基本的に第三期へのつなぎ的、第一期の補足的な役割のようで、この作品自体が一人歩きするほどの力も勢いもない。第一期と第二期の間の時間稼ぎというか穴埋め的な作品に過ぎず、ある意味で哀れな作品といえよう。

24位:Shining Hearts -幸せのパン-

ただのパン屋の日常


最終話付近でバトル物に持っていったものの、それまではただのパン屋の日常が延々と続くだけであり、昼ドラでもここまで内容薄くないだろうってくらい訴えるものが何もない空っぽ作品だった。

最終話でちょこっと本命のバトルシーンがあったものの、物語り全体の流れからすると違和感の方が強く、近所のパン屋がいきなり最強戦士でしたとか言われても、サザエさんがいきなりエスパーバトル物になったくらいの違和感がある。展開も盛り上がらないし、キャラクターも立ってないし、何でアニメ化したのか意図が分からない

25位:めだかボックス

期待はずれ


化物語、刀語の原作者であり、ジャンプでも人気と聞いていたので期待していたのだが、完全に期待はずれ。
学園バトルにちょっぴりエロと恋愛を加えた典型的なジャンプ物だが、何と言うかもうこの手の作品は作りが相当丁寧か、かなり突飛な設定で勢いがあるもの以外は全部同じような作品に見えてしまう。
この作品、凡百のラノベアニメと大差なく、どこが面白いとかを探す以前につまらない。第二期からは面白くなるとの噂で第一期だけ視聴オンリーで視聴していたが、見る時間を割くことさえ惜しいと感じるようになった。
第二期は面白いのだろうけど、第一期がこれでは視聴するモチベーションが上がらない。
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