2010年春期アニメ総評

1位:鋼の錬金術師

歴史に残る壮大な大河ドラマ

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5クールという永きに渡って展開されたドラマは深みがあり含蓄に富んでいる。綿密に計算されたストーリー、サブキャラにまで及ぶキャラクターの掘り下げ、回収される完璧な複線、ドラマチックな展開にシリアスな緊張感ある戦闘と、およそ長編ドラマとはかくあらんというばかりのお手本のような作品。

特に5クール目の展開はまさに怒涛の如き勢いと力強さがあり、一瞬でも目の離せぬ冠絶した物語にぐいぐいと引き込まれてゆく。

僅かに瑕瑾を見つけるとすれば、1クール~2クール目にかけて前作と同じ展開をなぞったことであろうか。物語の展開上、前作とだぶるのは致し方ないのだが、やはり先が見えた再放送を見ているような冗長さは物語を楽しむことさえできなかった。前作とは異なる原作準拠の展開になってからは十分に楽しめたので、初見であればこの退屈さは感じなかっただろうから、前作を見ているかいないかで印象はかなり変わるだろう。

しかしながら、総合すれば名作と呼ぶに十分の内容と資質を持っており、このような名作を5クールに渡って視聴できたというのはアニメファン冥利に尽きるというもの。確実に歴史に残る名作であろう。

2位:デュラララ!!

多くのキャラが織り成す最高の群像劇

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主人公となるメインキャラだけでも3人、さらに彼らに纏わる複数の人々がいるという多人数状況で、複数の人々の行動と想いの交錯を見事に一つの作品の中に織り込んだ秀作。多人数を描写しながら視線の行方にブレはなく、物語の進捗はスマートでスムーズ、複数の伏線が交錯して収束する有様は劇的であり見事という他ない。

これだけ多くのキャラクターがいれば、普通は作劇上の都合で無意味なセリフや行動、ワザとらしい伏線などが散見されるものだが、各キャラクターが完全に自分の役割を自覚して物語に同化している。リアルな物語ではあり得ないストーリーだが、リアリティのある流れはこの作品へ惹きこませるに十分な魅力がある。

個人的にはこのような好き勝手に生きる若者を中心にした物語は苦手なのだが、表面的な軽さとは裏腹に、深淵的な部分での懊悩、葛藤、呻吟、欲望などを見せる技術に長けているため、世代を超えて共感できる。
ぜひとも第二期を期待したい作品。

3位:おおきく振りかぶって~夏の大会編~

いつ見てもよく出来た青春ドラマ

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第一期から待ちに待った第二期。原作の秀逸さもあって、今回も実によく出来ている。
基本的な流れやセリフはほぼ原作と同一で、アニメの佳さというより原作力が90%。アニメは尺を合わせるために原作を所々をカットしているだけで、「鋼の錬金術師」のように原作をさらにスタッフが噛み砕いて昇華させるほどではないのだが、物語の持つ独特な雰囲気や間を壊さない程度に再現はされている。

非現実的な能力やスキルを持っているわけではない等身大の高校生たちの織り成すドラマは、野球に限らず中高生時代に部活動を経験した者にとっては郷愁を誘うものがあり、野球やスポーツが嫌いな人でもこの作品だけは楽しめるのではないだろうか。こういう作品こそゴールデン枠で放映してほしいものである。

原作が未完の上、単行本の発刊スピードも遅く、原作ストックが一定量溜まるのを待ってから放映という形をとっているため、前回同様、終わり方がかなり中途半端になってしまっているが、第三期の放映開始が数年後であることを考えるとなんとも恨めしい終わり方である。

4位:四畳半神話大系

若者の持つ恍惚と不安と期待と挫折が全てここにある

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主人公の「私」が大学生活で部活と人間関係に失敗しては人生を巻き戻してやり直すという不可思議な作品。人生の巻き戻しというのはゲームを最初からやり直すのと同じでパターン化されて退屈さを感じるものなのだが、この作品はよくぞ同じキャラの人生を巻き戻してこうも彩りある別の人生を歩ませ、そして最後は同じ失敗を繰り返させることができるのかと関心する。

内向的だが自尊心だけは高く、自分に出来ないことは心の中で折り合いを付けて避け、失敗を恐れるあまりに大きな成功も得られず、漫然と人生を送りつつも自分は他のやつらとは違うと考える「私」は若者の持つネガティブな特徴を全て備えたような男であり、誰もがどこかに共感できる部分を持っている。こういうキャラクターは物語の進捗によっては嫌なキャラになってしまうが、そこを絶妙の駆け引きと物語の進行で嫌味を滑稽さに転換させて視聴者に不快感を抱かせない作りは秀逸。キャラ造詣の鏡と言っていいだろう。

そして最終回、自分の愚かさと平凡な人生の彩の深さに気づいた「私」が、同じ「私」でありながら明らかに異なるキャラクターとして確立されているというのは何とも爽快である。

どこか昔の文学作品を思わせる衒学的で破滅的な面を持ちつつ、現代的な志向と懊悩で古臭さを感じさせないのは原作持つ力であろうが、それを見事にアニメとして成立させたスタッフには頭が下がる。
1話だけ見てはこの作品の佳さはまるで理解できない。全話を見おえた時、初めてこの作品の魅力は伝わってくる。

5位:さらい屋五葉

燻し銀の重厚にして丁寧な作品

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舞台は江戸時代、主役はさえない中年男ということで、およそ萌え要素がなく若者受けしない作品ではあるが、作品全体に漂う落ち着い雰囲気と時に見せる緊張感などは、大人が楽しめるアニメとして十分な魅力を持っている。

さらい屋といういわゆる誘拐を生業としているキャラたちが織り成す人間模様がメインとなるが、生業の悪質さの割には物語には陰湿さや暗鬱さは見られず、シリアスな中にも滑稽さを感じるのはやはりキャラ造詣の佳さと心情の披瀝の見事さだろう。
俗世間とは乖離した韜晦さを見せながらも、世間のしがらみや仲間との交わりを通じてみせるキャラの表情は現代の疲れたサラリーマンにも感応するものがあり、やはり学生よりも大人に見て欲しい作品である。

若者の持つ熱さや真っ直ぐさは全く見られないのだが、大人の持つ複雑な心情の魅せ方は春秋を重ねてきた者のみが分かる重みが伝わってくるようで、隠れた名作といえよう。
できれば毎期に1つはこの手のアダルトな作品というのを見たいものですなw

6位:HEROMAN

勧善懲悪の痛快娯楽アメリカンファンタジー

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今期唯一のロボ物ということで個人的には一番応援していると言っても過言ではない。敵がゴキ○リだったり工事用ロボだったりするので本格的なロボ同士の肉弾戦というのは今後も出てきそうにないのだが期待だけは持ちたい。

原作はアメリカンヒーローコミックの第一人者とのことだが、アメリカンコミックは寡聞にして知らないものが多く、実写映画として供給されているアメリカンヒーロー物にはまるで食指が動かされないのでアメリカナイズされた作品という程度の認識で視聴を続けている。

物語は前半はかなりスピーディーで僅かに拙速さを感じたものの、その勢いと流れはヒーロー物らしく痛快で手に汗握って楽しめた。しかし、想像以上に早く初期のラスボスを倒してしまい、異星人との戦いはあっさり決着。その後は遅まきながらキャラを掘り下げつつ、正義のヒーローが追われる立場に一転して単純な正義や力では解決でききない政治的な側面を見せるようになり、物語の幅を広げつつ今後どういう方向に進むか模索しているように見える。

ヒーロー=正義の味方を標榜するだけあって、主人公の心性は真っ直ぐで歪みがなく清清しいものの、どこか蒲柳な弱々しさがあり、往年のスーパーロボットを操る主人公のような熱さと勢いがないので、それが物語の勢いを阻害しているようで面白くはあるが前半に比べてどこか精彩を欠いているように感じる。

どれだけの尺が残っているのか不明だが、再び前半のような痛快なドラマが繰り広げられるよう期待したい。

7位:迷い猫オーバーラン

1話ごとの監督交代が功を奏した

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原作未読ながらいつものラノベのようにハーレム男子の話かとまるで期待をしていなかったのだが、監督を毎回変えるという斬新なコンセプトで出来上がったそれぞれの回は、各監督の持ち味と技量、人脈と手腕が問われる壮大な実験場と化した。

毎回がらりと作風が変わるそれぞれの回は、原作未読でも明らかに原作を無視したと分かる独特のストーリーと雰囲気を持ち、同じ作品とは思えぬ味を出して退屈させない作りは見事。好き勝手にやっているというよりも自由闊達に作っているという感があり、どれも伸び伸びとして屈詰さを感じさせない雰囲気は往年の「うる星やつら」を彷彿とさせる。

無論、好みもあるので全ての回が面白いというわけではなく、全ての作品でこの手法が通用するわけではないが、新しい見せ方の一つとしては成功と言えるのではないだろうか。

原作ファンは受け入れ難いかもしれないが、原作を知らない人ほど楽しめる作品になっており、原作への興味を抱かせるという点ではオーソドックスな作りよりも説得力があると思われる。
ただ、最終話の副音声のような総集編は明らかに蛇足でDVDおまけ得点レベルなのであれで1話分尺と金を取るのはどうだろうw

8位:刀語

やはり月一放映は勢いが削がれる

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巧妙な掛け合いセリフに流れるような弁舌、小説原作だけあってセリフだけでも楽しめる。そういう意味ではCDドラマの方が合ってたような気がする。CDドラマではなくアニメ化を選択した以上、期待するのはやはり無手と刀の戦闘シーンであり個人的にはそこが最もこの作品に期待するところなのだが、ここ数回は妙にはぐらかされた感じがある。特に「針」との戦いは次回予告では見事な立ち回りシーンを見せながら、本編ではセリフの回想だけというやり方は演出にしては残念すぎる。この回のはぐらかされ方がどうしても尾を引いてしまい、素直に期待できなくなり、次第にこの作品自体への期待感も薄らいでしまった。

単純な刀集めを物語ごとに個性を持たせ、登場するキャラの性質を確立させる流れと展開は見事なのだが、やはり今ひとつ盛り上がりに掛けてしまう。
1年という長いスパンがあるので物語りはまだ折り返し地点。今後への期待はまだ捨てずに遺しておきたい。

9位:荒川アンダーザブリッジ

キャラの濃さは今期随一

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第一話で河童が登場したシーンが笑いとしては最高潮であったことを考えると、出落ち的な作品といえないこともない。実際、河童と☆がからむエピソードはそれなりに面白かったものの、二人の登場シーン以上の笑いはなかった気がする。他のキャラに至っては、もはやこの二人のインパクトが強すぎてむしろ普通に見えた。

全体的にコメディ色が強いが、時に見せる哲学的なモノローグや時代を風刺するようなセリフにははっとさせられるものがあり、単なるコメディとしては収まらない深さと奥行きを持った作品である。作品の持つ独特の雰囲気や間、色彩や空間をシャフトが独自色を出しつつ上手く描写しており、ひょっとしたらシリーズ化も視野に入れて製作されているのかもしれない。

10位:薄桜鬼

史実とオリジナル要素のバランスが微妙

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幕末という歴史好きには食指が動く分野で、どうしても史実ベースで見てしまうのは悪い癖だが、そこは私の好みということで寛恕願いたい。
ゆえに史実をきちんとたどってストーリーを進めてゆく流れは興味を引くものの、オリジナルキャラをそこに織り交ぜてゆくやり方がなんとも杜撰でキャラが浮きまくっているのが残念

特に主人公・千鶴はキャラ的には可愛らしくヒロインの素質十分であるのに、剣戟吹き荒れる新撰組の修羅場に彼女を立ち合わせるのはなんとも違和感があり、その存在が浮きまくってウザささえ感じる。鬼を標榜する敵のオリジナルキャラも薩摩藩に属すると史実上での立場を明確にしているにもかかわらず、千鶴の尻を追いかけてばかりでまともに仕事をしているとは思えない。彼らオリジナルキャラの存在が殺伐とした当時の緊張感をなくし、軽佻な行動が史実キャラの悲壮感や使命感を台無しにしている感がある。

変則二期構成のためいまだ謎は解明されず、それぞれの決着もついてないため二期への期待感はあるものの、史実上死んでいる人間をわざわざ生き返らせ、何の活躍もしないままただ生を貪る状況は彼らの刹那的な美しさを阻害し、その崇高な生き様を否定するようなものではないだろうか。

ゾンビとなって無駄にモブキャラとして登場している主要メンバーよりも、信念を持って死んでいった山崎や井上、己の志操に殉じた伊藤甲子太郎などの方がよっぽど格好良く見えるのは私だけなんだろうか?

11位:WORKING!!

キャラの印象の好悪が作品に影響する


ストーリー自体に面白みはなく、登場するするキャラを楽しむ作品。ゆえにキャラクターの好悪が作品の好悪に直結し、キャラに愛着を感じれば素直に楽しめるが、キャラに不快感を感じると素直に視聴できなくなっている。

登場するキャラの全てがどこか常軌を逸しており、そのアブノーマルさが存在自体をギャグとしてコメディが成立しているのだが、キャラのアブノーマルさは愉快と不快のライン上にあり視聴者の感性でその指針が振られるため、見る人によって印象をかなり異にする。ストーリーがもっとギャグに特化していればアブノーマルさも普通のギャグキャラとして認知できるのだが、世界観やストーリーはあくまで現実的であり、キャラも等身大でありながらどこか非現実という具合なので、やはり割り切れるか割り切れないかという単純な感性に尽きる。

ただ、同じアブノーマルさでも監督や演出の違いでかなり差があることから、見せ方の工夫一つで受け取る印象がかなり違うため、個人的には気持ちよく見れる回とそうでない回が半々くらいであった。

12位:あにゃまる探偵キルミンずぅ

やはり全50話は長すぎ


3クール目に入って毎回同じような話のローテーションになってきており退屈。やはり50話という長いスパンで作る話ではないようで、敵の正体やら小道具の謎を引っ張って何とか長引かせようという腹積もりのようだが、もう既に限界に近い感じ。作品の持つポテンシャルが元々1クール相当なのでこれを1年続けるというのはスタッフにも視聴者にもかなり苛酷な試練となりそうだ。

夕方枠だけあってか、作画クオリティは毎回高く、キャラクターたちの可愛さは毎回見ていても飽きないのだが、ストーリー自体に面白みがないのでキャラを愛でるという見方も最近ではキツくなっている。

残り1クール。終わって欲しくない、という感想が書きたいが、終わってほっとするような気がする・・・

13位:怪談レストラン

エグさをなくしてしまったことで平凡化した


1クール目あたりでは結構エグいストーリーや理不尽な呪いモノなど、一般の怪談とは一線を画するような毒を含んだストーリーが多く、その奇抜性と特殊性から視聴後の後味の悪さが残るものの、良くも悪くもそれがこの作品の特徴であった。
しかしながら、ゴールデンという時間帯からか次第に毒性が弱まり、普通の怪談やよくある昔話のようなエピソードが多くなり、特徴がなくなってしまった。

原作は1話完結のオムニバス形式らしいが、アニメ化するに当たって主人公とレギュラーメンバーを作り、彼女たちに多種のエピソードを経験させる方法はキャラへの愛着を深めて物語への親和性を高めるのに効果的であったが、毛色の違うエピソードを強引に当てはめようとする場合などはかなり違和感を感じてしまったので、もう少し脚本を推敲するべき箇所があったのではないかと個人的には考える。

できればゴールデンという時間帯ではなく、深夜枠でもっとエグいストーリーをリアルにやった方がこの作品の持つ中毒性のある毒性を上手く表現できたのではないだろうか。

14位:会長はメイド様!

少女マンガらしいパターン化された話


気の強い何でもできる頑張り屋の女の子と彼女を上回るスペックを持ったスーパーマンな男子という少女マンガのテンプレな設定に、主人公女子ピンチ→スーパーマン男子登場ですべて解決、というこれまたテンプレな流れが完全に確立されている作品。

主人公がメイド喫茶で働いているという設定もあまり活かしきれてないし、逆にメイドにしてしまったために舞台が学園とメイド喫茶にほぼ限定されてしまい、話に幅を持たせられなくなっているような気がする。

どうやら2クール作品のようなので、2クール目からはストーリーに変化を付けて欲しいところ。メイド喫茶と学園会長の二足わらじの話はもう限界だろう。

15位:真・恋姫無双~乙女大乱~

ストーリーよりもキャラ重視し過ぎ


今回で通算第三期目というのに、未だに新キャラが続々登場。三国志演義をベースにしてあるため歴史好きならばキャラの区別化ができないわけではないが、三国志演義を知らない人はもうキャラを見分けることは不可能なレベル。
三国志演義の多彩なキャラを新たに女性に起こしたいという願望は分かるが、キャラばかり突出しすぎてストーリー面はかなりな御座なりになっている感がある。
話数のほとんどはキャラ紹介で大筋のストーリーとは関係なくなっており、それぞれに面白さはあるものの、物語としては物足りない。小説・三国志演義を読んでいるつもりが実は光栄の武将ファイルを読んでいたというような感じ(分かり難いw

最終回の大量声優投入は話題づくりとしては成功したものの、何かを喋らせようといきなり全員に演劇調の見得を切ったセリフを言わせるのは違和感が極めて大きく、慣れない言い回しと口調に声優さん自身もかなり苦戦しているようで見るに耐えなかった。

基本的にはストーリー云々するドラマではなく、キャラを愛でる作品なので見せ方としては間違ってないので、評価の低さは個人的な好みの問題である。

16位:B型H系

初々しさがなくストリーもデザインも古い


エッチに興味を持ち始める初々しい高校生たちのラブコメという位置づけなんだろうけど、根本的にキャラクターに惹かれるだけの魅力がない。デザインの悪さもあるだろうけど、そもそも「超絶美人」と謳われる主人公がモブキャラっぽくて可愛く見えないのが致命的。
明らかに好みの問題なので合う合わないは個人差があるが、一般的な平凡男女の恋愛ラブコメならばこれでもよかったが、「超絶美人」という設定が活きてる状態でこのデザインはちょっと頂けない。

ストーリー的にも面白さや意外性はく毎回パターン化された平坦なものではあるが、安パイと思って適当に決めた男に次第に引かれてゆくという流れ事態はそれなりによくできていた。ただ、男女ともにキャラデザだけでなく性格的にも魅力を感じないので惹かれていく過程に説得力がなく、あくまで作劇上の都合という見方でしか見えれないのだが。

個人的にはラブコメに限らず恋愛モノというのはキャラの叙情性をいかに視聴者に伝えられるかがキモとなるので、外貌の美しさや挙措の鮮やかさなどの表面的な美しさだけでなく、情緒の豊かさ、心性の麗しさ、性質の佳さなど内面的な美しさが重要になると考える。単純にエロ描写だけを求めるのならばこの作品程度でも十分だが、恋愛要素を加えてしまってはあまりにキャラが薄っぺら過ぎる。

17位:閃光のナイトレイド

プロットと設定は面白いが作劇が壊滅的


時代的にマイナーな昭和初期の時代、満州事変を背景にした上海でのエスパーたちのスパイ活動ということで、歴史好き超能力好きスパイ好きには非常に食指を動かされる題材と設定だったが、作劇の悪さがすべてを台無しにしてくれた。

プロットや設定、細かい時代描写はほぼ完璧なのに、どうしてこんなに面白くない物語が出来上がるのか不思議である。演出の不備、キャラの掘り下げの杜撰さ、曖昧な伏線など、作劇の悪さは筆舌に尽くしがたい。
悪いところを1つづつ揚げていくとキリがないが、ほぼ完璧ともいえる設定や細かな時代描写を全く活かし切れておらず、まるでプロが考えたプロットを使って素人が作り上げたようだ。本当にもったいない。全く同じプロットで違うスタッフによって作り変えて欲しいくらい。

作画レベルは高くもなく低くもなくだが、肝心の超能力戦がほとんど見られず宝の持ち腐れ。さらに超能力戦をしても舞台が夜中で画面が暗くて何をしているか分からないと言った具合にもう根本的に見せ方を間違えているか誤解している。小説を読んでるならまだしも、アニメという媒体で第三者に見せるのだから、もっと見せ方を考えて欲しい。

期待していただけに、この出来の悪さは怒りを通り越して悲しい。

18位:いちばんうしろの大魔王

もはやこれを作品と呼んでいいのか疑問


これほどストーリーを端折って終わらせたアニメは未だかつてお目に掛かったことがない。設定や説明を端折るジェットコースター展開というのはよく聞くが、ジェットコースターどころかテレポートしているため、完全に流れがぶった切れている。
視聴者に見せる作品というよりも、作り手が1クール内のノルマをこなすために機械的に作ってるだけのモノで、ドラマへの愛着も感じなければキャラへの愛情もなく、ただ指定された話数を終えるためだけに作られたモノで、視聴者は完全に置き去り。それどころか、最初から視聴者を意識してないように見える。

1クール内で原作のどこまでを収めるかという見積もりが根本的に間違っており、ドラマ制作に発言権を持った人材がド素人だったかこの原作が元々大嫌いだったとしか思えない。
キャラや設定自体は平凡ながら興味を惹かれるものがあり、杜撰なストーリーの中でも自己主張できていたキャラがいたことを考えると、きちんとした人材が真摯な態度で作れば面白い作品になれる可能性は十分にあっただろう。

19位:Angel Beats!

お手軽な浪花節と安易なお涙頂戴作品


世界観、キャラ設定、脚本、ストーリー構成、演出、ギャグ、何一つとっても褒辞の1つも浮かばない。

エヴァ以降、好まれて作られる精神世界やトランスパーソナル心理学などをベースにした仮想空間を舞台にした物語だが、設定自体があやふやで説明もなく、製作側でもほとんど世界観が構築されていないように見える。その場その場で設定を追加していくような杜撰さが目立ち、どういう解釈でもどういう意味にでも取れることをさも尤もらしくキャラに喋らせる手法は児戯にも等しい。

架空の世界の仮想空間であるため、常識や常道というものが存在せず、主人公の言う事が常に正しいという物語の流れは説得力の欠片もなく。ご都合主義的な流れに終始して物語としての面白さは皆無。エピソード毎に感動的な状況を煽動する場面はあるが、一人としてキャラの掘り下げができていないのでどれもお涙頂戴の三文芝居の域を抜けれず、煽情的でありながら何もうったえるものを感じられないのはむしろ滑稽に見える。

キャラの数も無駄に多く、そのくせ印象的なキャラは天使しかいないため、その他はほとんどモブ同然。そのくせ彼らに物語を引っ張らそうとするものだから、何をしているのかどうしたいのか、根本的な所が不透明になるっている。

前評判が高いので結局見続けてしまったが、ネタ的な楽しみ方しかできなかったのが残念。
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