2007年春期アニメ中間総評

1:ロミオ×ジュリエット

1位:ロミオ×ジュリエット


言わずと知れたシェークスピア悲恋劇の最高峰



アニメの内容は題名と主要メンバーのみ同じような設定だが、ほぼ完全オリジナルの展開。

主人公のジュリエットを初めとした人物描写の表現が秀抜しており、まさにオペラ劇を見ているような感覚に陥るほど表現力がすばらしい。

特にジュリエットの喜怒哀楽の表現は冠絶。

ストーリー的にも比較的破綻が少なく、絵のクオリティも全くない上に総集編や使い回しもほとんどない優秀さは近年では稀な出来映え。

アニメ化するにあたって、恋愛の背景を両家のいがみ合いレベルから生死をかけた報仇雪恨にまで発展させたことで両家の和解がほぼ絶望的である上に、二人の悲愴さを演出するあまりにロミオとジュリエット側の関係者が志操的に低レベルであることから、時代背景や人間関係などを加味した原作と違って視聴者の同情が二人に集中せざるおえない作りになっており、これがどう転がるかが今後の見所になろう。

2:地球へ・・・

2位:地球へ・・・


およそ20年前に映画化された当時の最高傑作漫画


原作をアレンジすることで30年前の原作とは思えないほど斬新かつ鮮烈なストーリーとなっており、制作スタッフの並々ならぬ努力が伺える。

筆者は原作は概要レベルしか知らないが、映画や漫画では顕しきれなかったであろう人物描写や背景設定、人間関係などを再構築させて原作を補って余りある作品となり、特に20年前には不可能であろう絵のクオリティはまさに絶品。

主人公となりえる人物が複数存在し、視点が移ろい易くなる危険があるにもかかわらず、そのキャラクターの個性がしっかりと確立されている上にメリハリを着けているためストーリー的に見やすく流れもスムーズにいっている。

今後は原作ファンのイメージを壊さず、初見の視聴者にどれだけインパクトのある展開を見せれるかが勝負どころだが、これだけ優秀なスタッフが揃っているいま、よほどのことがない限りラストまで安心して見れる作品であろう。

3:天元突破グレンラガン

3位:天元ン突破グレンラガン

エヴァンゲリオンやふしぎの海のナディアで一世を風靡したガイナックスの久しぶりのテレビ放映作品ということで期待して見てたが、やはり期待に違わぬ出来映え


特に物語において大事なストーリーのスピード感とキャラクターの勢いと言う点では上位の中でも最も優れている。

キャラの魅せ方が上手いのでキャラクターへの感情移入が容易となり、演出の優良さからくる展開の早さは作品を飽きさせない。

出だしはゆっくり、途中から勢いを増す作品作りが定番となるなか、最初からクライマックスなのはこの作品と「仮面ライダー電王」くらいなものではないだろうか(笑。

アニメファンのツボを押さえた作品づくりはまさにガイナックスの十八番で文句の着けようはないが、ただ、今までの経験上、最初に飛ばしすぎて途中で勢いが全くなくなる作品を多く輩出していることから、今後の展開が気になる作品でもある。

7:結界師

7位:結界師

ゴールデンタイムに放映しているためか放映休止が圧倒的に多く、そのせいで物語自体の存在感が希薄になる作品ではあるが、やはり原作同様、見ていると面白い


妖怪バトルものという、アニメや漫画ではもはや定番の内容にも関わらず、「結界」というオリジナルの特殊能力を作り出して世界観を構築した原作は斬新であり、アニメのその余慶を預かって今までの妖怪退治者とは一線を画す作品となっている。

退治技をオリジナルの技としたことで、この手の作品にありがちな実際の呪文を中途半端に使ったり、攻撃魔法のように使ったりするという意味不明な展開がないだけでも見ていてほっとできる。

ただ、原作連載中という作品はすぐに原作に追い付いてしまい、オリジナルの展開にしたあげくにストーリーが破綻して原作が持っていた勢いをそぎ落とし、惰性で見るだけの物語となってしまう場合が多いことから、今後の展開が注視される。

4:瀬戸の花嫁

4位:瀬戸の花嫁

今期始まった深夜アニメの中でも予想を裏切って面白くなっている作品


同時期に放映を開始した同系統の「ながされて藍蘭島」が最初の勢いとコメディセンスを途中から失っている中、毎回毎回、飽きさせないドタバタコメディを展開した上で、風情ある恋愛劇をどこか一点で外さず魅せてくれるあたり、脚本と演出とコンテの良さが伺える。

ドタバタコメディと恋愛ものは、どこか毎回ワンパターンとなって最初と最後以外は惰性で見てしまうものが多い中、パロディあり、お笑いあり、恋愛あり、とあらゆる要素を混ぜながらもメリハリを着けて各個の要素が渾然一体となって作品ができあがっている様は賞賛に値する。

今後もこのクオリティと勢いを維持して欲しい作品。

5:ハヤテのごとく

5位:ハヤテのごとく

この作品、パロディとキャラのお色気(萌え)で割ってしまうと後に何も残らないという単純さながら、その二点において他の追随を許さぬ作品となってしまった奇蹟の作品


パロディとキャラ魅せというのはストーリー毎に波があり、毎回それほどのインパクトを与えぬものなのだが、現状までその見せ方と勢いを衰えさせることなく続けているのはまさに奇跡的な作品ではなかろうか。

時間帯と放送局が違えば暴走してある意味まったく違った作品になってしまったであろうこの作品、もしそうなったらコアなファンが増えそうではあるが、現状の放映コード内でこれだけの萌えとパロディを見せ続けているのはひとえにスタッフのテクニックというよりも愛ではなかろうか? 

今後も安心して見ることのできる作品である。

6:のだめカンタービレ

6位:のだめカンタービレ

言わずと知れた漫画原作のアニメ化。漫画はさすがに空前の売り上げを叩きだしているだけあって、稀に見る良作


アニメも原作の魅力と面白さを十二分に伝えており、キャラクターの個性を引き出して飽きの来ないストーリー展開となっている。

ただ、漫画の世界とは違った世界を魅せるわけでもなく、徹底して原作の追従を強いられているのか追従せざるおえないのか、原作を読んだ人にとってはストーリーが破綻しないレベルでのエピソードのカットが多くて物足りない感じを受ける。

また、見せ場であるはずの楽器演奏についても主人公以外の人物は止め絵が圧倒的に多く、逆に漫画よりも動きを感じられなくなっているのは残念。

だが、それでもなお「のだめ」の世界観は十分に伝わっており、漫画を読みたいと思わせる内容になっていることから、好い意味でも悪い意味でも漫画を読んでもらうための作品ではないだろうか。

8:ラブ★コン

8位:ラブ★コン

原作未読であるが、今までの少女漫画的恋愛ものとは少々毛色の違う作品


お互いにコンプレックスを持つ同士の恋愛ということで、少女漫画にありがちな雑誌モデルの男女の恋愛(なぜか少女漫画は雑誌モデルをバイトでしている男女が異常に多い)という視聴者から見て夢物語的なお話ではなく、地に足が着いたというか現実にあり得るレベルの恋愛模様となっているのは見ていて好感が持てる。

学園恋愛ものにありがちな季節イベントに頼って話を進めるということもなく、日々の学生生活をコメディタッチで描いており、主人公二人の掛け合いは実際の学生風景を見ているようで、若い世代だけでなく大きなお友達も十分試聴に耐えられる作品ではないだろうか。

ただ、放映回数が1クールなためか、話の展開が異常なまでに早いのが、恋愛ものにとっては致命的な展開になる懸念がある。

9:おおきく振りかぶって

9位:おおきく振りかぶって

王道のスポコン野球アニメであるが、気弱でトラウマを抱えるイジメられっ子タイプの子が主人公という異色の野球アニメ


野球のゲーム自体の面白さやキャラクターの人間成長というよりも、各個人の心情描写に重きを置いている点も今までのスポコンアニメにありそうでなかった切り口。

今時の野球少年らしい雰囲気と生活態度が如実に現れており、見ていて清々しくなる。

ただ、キャラクター個々の魅力が小さく、物語全体を引っ張ってゆけるだけのキャラクターがいないため、ストーリー展開が重要になってきて、へたをするとすごくつまらない作品になってしまう危うさを含んでいる。モモカン萌え、阿部君&三橋萌え出来る人には問題なし。

10:DARKER THAN BLACK

10位:DARKER THAN BLACK

物語の全容どころかキャラクターの人物像、いや主人公の目的や能力、ポテンシャルまであらゆるものが「不明」であるという不親切きわまりない作品だというのに、なぜか個人的にはすごく気になってしまう作品


毎回のエピソード毎に出てくるヒロインが物語の中心目線となっていることで、主人公であるはずの人物が今までずっと完全に脇役然とした扱いになっており、物語に大事な骨幹というものがなく、軟体動物のように渾然とした印象を受ける。

ほぼ1話(前後編の2話)で物語が完全に完結してしまっていることから、ある意味見やすいが前編だけでは何も分からないと言う弊害もある。

その作り方が顕しているかのように、おそらくは物語を全話みないと「DARKER THAN BLACK」という作品が理解できないのではないだろうか。つまり、終わってみなければ、この作品の良否は判定できないと思われる。

11:ひとひら

11位:ひとひら

今期なぜか多い学園ストーリーものであるが、コメディタッチを極力抑え、主人公とその仲間たちの成長を純粋に描こうとしている学園ドラマ


主人公の成長物語ということで、ラストはおおよそ予想できてしまうものの、個性的な各キャラクターを絶妙に配置させ動かしているのはお見事。

今後、各キャラクターを掘り下げつつ、主人公が挫折と苦悩を続けつつ再起して青春を謳歌してゆく気持ちのよいストーリー作りに期待したい。

12:ぼくらの

12位:ぼくらの

原作では既に救いようのない展開になっているようだが、アニメでも既にそんな匂いがプンプンする作品


原作が完結していないのでオリジナルの展開にならざるおえないであろうが、物語の目的がいまいち不鮮明なため作品に没頭できない。

今のままだと、理不尽で不条理で不快な要求を突き付けられた少年少女たちが苦しんで死んでゆく様を見てゆくというだけで、救いもなければ希望もなく、たんに死に様を見せつけられるだけで見ていて気分が悪くなる。

大人ではなく子供を主人公に据えたことでより一層悲壮感を出そうとしているのか、それとも目的があるのか不明だが、たんに「物語的に子供が死んだ方が同情受けるから」というような理由だけでこの話が進んでゆくだけとしたら、物語が終わったときの総評は大暴落しているはず。

13:ヒロイック・エイジ

13位:ヒロイック・エイジ

その名の通り、人類を滅亡から救う英雄叙事詩


のはずであるが、「なぜ人類は滅亡に瀕しているのか」「なぜ主人公が人類を守るのか」等々、疑問を突き詰めてゆくときりがなくなってしまうほど物語の骨幹が見えてこない。

大命題である人類を守るという行為についても、敵がなぜ人類を滅ぼそうとしているのかさえ分からない。

純粋な主人公の無垢で献身的な行為だけを見ていればドラマとしては成り立つが、物語としては不十分で、今後どう決着をつけてゆくのかが命題となるであろう。

14:機神大戦ギガンティック・フォーミュラー

14位:機神大戦ギガンティック・フォーミュラー

いろいろなアニメのパクリと酷評されたが、個人的にはその通りで未だにオリジナル性をこのアニメに見いだすことはできません


これだけ作品が横行している中、ある程度のパクリはしょうがないが、出演者を統一しなければ、既存のアニメを継ぎ接ぎしてこの作品が出来てしまうのではないだろうか?

肝心のロボット同士の戦いも、CGにしては善くできていると感じるが、やはり強烈なパースとかインパクトのある構図とかがとれない以上迫力に欠けると言わざるおえない。

2クール以上放映されるようなので、今後の展開に期待したい作品である。

15:デスノート

15位:デスノート

良くも悪くも原作通り。原作が面白いため、当然アニメもそれなりの人気を博して面白いとは思う


だが、原作の後半(エル死亡後)が面白いと思わない筆者にとっては、やはりアニメの後半もそれほど面白いとは思えない。

ただ、ところどころでアニメ特有の表現方法やオリジナルエピソードの挿入を試みてくれるスタッフの意気込みには喝采を送りたい。
特に、エルの最後のエピソードは個人的には漫画より面白かった。

16:sola

16位:sola

いきなり気絶した女の子を自分の家に連れ込むあたり、エロゲー原作かと思えば普通の漫画原作だったようです


しかしエロゲー展開のちょいエロラブコメかと思えば、実際は登場人物の半分が人間ではなかったというびっくり展開。

端的に言えばヴァンパイアと人間とのラブコメ&戦闘が骨子でしょうか?

ただ、ヴァンパイアの能力が通常のヴァンパイアとは違ってかなりオリジナルなヴァンパイアなので「設定」でいかようにも変更可能となるでしょう。

イメージアニメ的にヒロインを愛でるような場面から一転して戦闘シーンへの移行があったりと、展開にはかなり緩急があり見応えはあるのですが、どこかキャラクター(の萌え)に依存したような甘えた作りが散見されることから、今後、どう転ぶかによって評価は二つに分かれると思われます。

17:スカルマン

17位:スカルマン

放映されたばかりでまだ良否どころか好悪つけがたい作品であるが、序盤を見ただけでは何となく面白くなりそう


石森氏原作と言うこともあって軽薄な内容にはならないであろうが、ラストをぼやかして視聴者の見解に任せるというような展開が多いような感じもあるので、やはり最後まで見てみなければ総評できにくい作品となるだろう。

18:ながされて藍蘭島

18位:ながされて藍蘭島

女だけの島に主人公の男一人というこれもエロゲーのような展開ですがsolaと同じく普通の漫画原作のようです


女だけの島という設定からも、ストーリー云々というより、ちょいエロやお色気シーンを当然期待して誕生したアニメ(おそらく原作も)なのでしょうが、名機・ケンプファーが生まれる時と国を間違えて人知れず消えていったと同じように、この作品も生まれた国(放映する放送局(テレ東))を間違えてしまったために本来の目的を見失って迷走しつつあります。

お色気シーンどころかパンチラさえ許さない鉄壁のテレ東規制の前に、本作品は無力という言葉を実感させてくれます。

それでも、最初の3話まではコメディタッチの展開とスピード感ある動きで面白くはあったが、本来ならちょいエロなお色気シーンを見せるべきところで中途半端なシーンしか見せられずに、面白味がまるでなくなってしまいました。

今後も是正される可能性は絶無なので、このまま人知れずに終わってゆく作品となってしまうでしょう。惜しいことです。

19:怪物王女

19位:怪物王女

どこのアニメ関係ブログを見ても酷評を免れていないが、個人的には結構気に入ってる作品


筆者が子供の頃に見ていた「怪物くん」の現代版と言ってよい内容と思われ、やはり現代に合わせてレギュラーメンバーは美女でかためられ、ほのぼのエピソードというよりも理不尽なドタバタになっている。

この手のアニメはストーリーなどあってなきが如くなのであえて指摘するまでもないが、キャラクター的には面白そうなメンバーでビジュアル的にもいいのに、作画の崩れが恒常化して原案通りのキャラクターが1話中に数カット見られればマシな方という現状が残念。

今後も改善の可能性がほぼ絶望的と思われるので、期待は薄い。

20:大江戸ロケット

20位:大江戸ロケット

AIC得意の幕末アニメ


実在の人物にオリジナルの人物をからませて物語に奥行きを見せる手法は「妖奇士」と同じだが、こちらは基本的にコメディタッチのナンセンスギャグアニメ路線でしょうか。

しかしながら、主人公とその友人たち、そして異星人たちの織りなすコメディドラマは面白味に欠け、主人公にも魅力を感じさせません。

それよりも、脇役である銀治郎の痛快活劇に目を奪われ、彼の動静の方がきになります。

実際、主人公の目的である「月まで上がる花火=宇宙船作成」というのが余りに魅力に欠け、その目的に邁進する主人公に感情移入できないのがこの作品の致命的欠陥ではないでしょうか?

21:ウエルベールの物語

21位:ウエルベールの物語

ストーリーや演出としては今期でも最低部類に入るであろうが、作画の安定さと小道具や風景描写がよくできていて見応えがある


とにかくエピソード作りや演出、物語の重要な部分である姫と盗賊の逃走劇があまりにもお粗末。

いや、お粗末とさえ言えない何でもありありの展開と各エピソードの子供だまし的なチャチさは見ていて唖然としてしまうほどにむごい。
このヒドイ作りは前期の「銀河鉄道物語」にも匹敵するほど。

もはやストーリーの破綻を免れる術はなく、あとはどういう夢オチ的展開を見せて笑わせてくれるかしか期待できない。

22:一騎当千

22位:一騎当千

言わずと知れた?パンチラ巨乳美少女アニメ


三国志のキャラクター名をそのまま使ってはいるが、彼らの実際の実績や力量とはまるでつながりが無く、史実のイベントともまるで無関係であることから、単純に名前を借用しているだけ。

三国志に馴染みのある視聴者からすれば人物の差別化が容易だが、元々三国志を知らない視聴者にとっては登場人物の多さと名前の複雑さから、キャラクターの差別化どころか一人の名前さえ覚えるのが困難であろう。

内容としては三国志より遙かに規模が小さい関東圏の学生間によるなわばり争い。学生同士の争いのくせに死人まで出しているが、子供だけの世界で完結しているため法的な圧力等は一切介在しない。

ストーリーを云々言えばきりがないため、単純に美少女のパンモロと巨乳の揺れだけを楽しめばよい。

23:史上最強の弟子ケンイチ

23位:史上最強の弟子ケンイチ

サンデー連載の本格的な格闘漫画。格闘のうんちくは最近の漫画にしては珍しく本格的で、多種多様な格闘技を上手くミックスさせてくれているし、展開もツボを心得ていて荒唐無稽だが面白い


だが、それは漫画で読めばと言うことで、アニメ化した時に期待される格闘シーンは見るも無惨でもはや論ずるに及ばず。

漫画と全く同じ構図の止め絵で紙芝居をしているだけで、今時格闘メインでないアニメでもそれなりの格闘シーンを見せてくれているというのに、格闘アニメを標榜するくせに一番格闘シーンが拙いという致命的な作画が大問題。

ストーリー的には面白いはずなんだが、作画の無惨さが全てをダメにしている。
アニメを見て漫画を読もうと思わせるアニメは多いが、アニメを見て漫画までつまらなく思えてしまうアニメはこれくらいではないだろうか?(筆者は漫画の単行本を購読してましたが、このアニメを見ているうちに全部売っちゃいました)

24:キスダム

24位:キスダム

第四話で総集編。このアニメが今後、どんなに素晴らしい展開を見せようと、この最大の汚点だけはぬぐえないのは確か


見切り発車もいいところで、序盤で総監督が逃走という噂の信憑性は定かではないが、2話~4話まで混乱した作画っぷりがその事実を裏付けしている。

映画並みのクオリティを目指していたと聞いたことがあるが、確かに1話だけはそれを期待させる展開ではあった。
しかし、以降の醜態ぶりはもう目を覆いたくなるようなもので、もはや怒りを通り越して同情さえしたくなる。

内容自体はロールプレイング形式で強くなって往く主人公が世界を救うことになるというありがちな話で、演出もストーリーもキャラクターも小道具も真新しいものは何一つない。

RPGゲームにありがちな偶然とご都合主義的な展開はクライマックスの緊迫感さえ感じず、もはや流し見でしか見るに耐えられない。

25:鋼鉄三国志

25位:鋼鉄三国志

「一騎当千」が三国志の名を借りた男性向けパンチラ巨乳アニメとすれば、こちらは女性用BLアニメだろうか


時代背景は三国志と同じような世界観ではあるが、魔法の武器が出てくるあたり、やはり全く別物の世界と見た方がいいであろう。

「一騎当千」と同じく三国志の登場人物が一部出場するが、年齢も性別も性格も史実とは全く異なり、やはりこちらも名前だけ借りたと見るべきであり、三国志を知っている人には人物の個別化ができるが、知らない人には余計に混乱を招く結果となっている。

主人公を陸遜に持ってきたあたりは斬新だが、三国統一や中華帝国建国といった国盗り合戦的な結末を目的にしておらず、「玉爾」という超兵器を手に入れることを目的にしているため、物語の規模と人物の器量は必然的に小さくなり、奥行きも広がりもない世界になっている。

26:シャインニングティアーズ×ウィンド

26位:シャインニングティアーズ×ウィンド

現代人が異世界に転送されてしまう定例パターン


しかしゲーム原作のためか、異世界に移ってからの順応性がハンパではなく、さっさと皇帝を称してしまう者、騎士団を結成してしまう者など、現実世界に戻る方法など考えることもしないようで、状況認識能力が絶無なのか順応性が無限なのか分からない脳天気な高校生ばかり。

定番の剣と魔法の世界でありながら、戦艦あり、車あり、ビーム兵器ありとまさに何でもござれ。
こんな世界でたかが一降りの剣でどうにかなるとは到底思えない。

肝心の「心剣」もありがたみなく、誰からもぽんぽん増産でき、もはやこの剣が何か意味があるのかさえ危うい。

ストーリーの無茶さに比べて絵のクオリティは比較的普通で、戦闘シーンさえ見なければ普通に見れる。とりあえず、各キャラクターのコスプレを見るのが最大の目的であるのは言をまたない。

27:神曲奏界ポリフォニカ

27位:神曲奏界ポリフォニカ

原作の絵の秀麗さに比べて、アニメではほぼ全てのキャラクターの表情が簡素化されている上にマッスル体型に変わっており、キャラクター的に萌えれるレベルではない


人と精霊の共存する世界と言うことでコンセプトは面白そうなのだが、世界観が定まっていないのか、現代風のメカもあれば古色な建物もありとオリジナルにしても文明発展度がまるで分からず、精霊がいることによる利点も弊害もいまいち伝わってこない。

空を飛べたりビームを出したりするという破壊・殺傷能力以外は人間と変わらないことからも、精霊の存在意義が戦闘・戦争以外であるのかいまいち疑問である。

エピソードも精霊をからませなくても人間だけでどうにかなるものが多く、やはり脚本的にも精霊の存在感が希薄で演出的にも必要性を見いだせない。つまりは、設定に振り回されているだけで内容的には空っぽ。

28:セイントオクトーバー

28位:セイントオクトーバー

もはや評するのも困難な、出たとこ勝負的なアニメ


ストーリーの面白さやキャラクターの魅力は未だ見いだせず、定番の変身美少女ヒーローものでありながら、彼女たちに正義どころか純粋さも感じず、放課後の部活程度の気軽さで人を殺し続けている様は痛々しい。

敵にも味方にも魅力無く、キャラクターの性格も各話ごとにころころ変わる様はもはやどうフォローしていいか分からない。

29:オーバードライブ

29位:オーバードライブ

マガジンで連載中の人気漫画らしいが、アニメ化するにあたりストーリーを大幅にいじくったのか、元々最初の頃は面白くない漫画なのか、どこが面白のかまったく分からない作品となっている


自転車の国際的なレースであるツールドフランスを目指す主人公の出世物語なわけだが、自転車競技という一般には人口に膾炙されていないスポーツのアニメでありながら、その自転車競技の魅力というものを一切説明・披露しないという大胆ぷりは惨すぎる。

さらに、頭のおかしな魅力絶無の主人公を数話かけてひたすらリサーチする進め方は眉をひそめざるおえず、加えて彼をとりまく人物たちの魅力も引き出せない(あるかどうかは別問題として)のは致命的なミス。

とにかく、見せ方も進め方も動かし方もまるで素人というか、初めて物語を書いた人のつまらない漫画を読んでいるようで、見ていて苦痛以外のないものでもない。
このようなマイナースポーツをテーマにする作家さんといえばサンデーで連載していた「帯をぎゅっとね」「モンキーターン」などで有名な河合克敏先生を思い浮かべるが、氏の作品は冒頭でキャラやスポーツの魅力を存分に引き出してあっと言う間に物語に引き込む絶妙な手腕を発揮するのに対し、このアニメはそれと比べると余りにあらゆるものがお粗末すぎる。

漫画を読めば多少は魅力も伝わるのかもしれないが、残念ながら「史上最大の弟子ケンイチ」と同じく、このアニメをみて原作を読む気には到底ならない。

30:この青空に約束を

30位:この青空に約束を

エロゲーのアニメ化はこうも無惨な様相になるのかと、今後のエロゲーアニメ化に一石を投じるのではないかと個人的には懸念される大駄作


エロゲーアニメの定番通り、各キャラクターに焦点を当てて進めるストーリー展開だが、美少女キャラクターが美少女に見えないという致命的な作画の崩壊を差し引いたとしても、不自然な行動をとりまくるヒロインたちに魅力どころか好意さえ感じず、見ていて殺意と悪意しか沸かないというある意味不思議なアニメ。

さらに加えて、自儘で自分勝手な主人公は画面の汚点でしかなく、彼の発する理不尽で自分勝手なセリフの数々はもはや痛々しいを通り越して哀れでさえある。

また、致命的な作画の下手くそさはもはや言うに及ばないが、それどころか原画から動画を経て原画に戻る一連の動きさえ不自然で軟体動物のように奇妙に動く様は見ていて気持ち悪く、プロが作ったとは到底思えない。

主人公の魅力のなさは、「オーバードライブ」の主人公に匹敵するほどで、ゼロどころかマイナスと評価せざるおえず、これにエロが加わってエロゲーになったとしても、痛々しいまでの不思議ちゃん揃いのヒロインと、もはや犯罪者と言っていいほど無思慮な主人公たちのどこに魅力があるのか全く謎である。
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